こんにちは!舞原(@MaibaraOfficial)です。
前回の続きで「英語の卒論の書き方②」を解説します。
(前回の記事↓)
前回の記事ではChapter 2 Literature Reviewまでの書き方を学びました。
(下記参照)
- Title
- Acknowledgement (謝辞)
- Abstract (要約)
- Table of Contents (目次)
- Chapter 1: Introduction (序章)
- 1.1: Background (背景)
- 1.2: Research Aim and Objectives (目標)
- 1.3: The structure of the Dissertation (構成)
- Chapter 2: Literature Review (文献レビュー)
- 2.1 ~ トピックに関連したことを
- 2.n: Research Questions (問題定義)
本記事では、Chapter3 Methodology (方法論)を解説するので参考にしてくださいね。
目次
Chapter 3: Methodology (方法)
Chapter 3では「Methodology (方法論)」を書きます。
ここではデータの採集方法や分析方法と言った「この研究は一体どのように行われるのか」を記載しましょう。
約2,000 wordsで以下の内容をまとめます。
- Methodologyの構成
- Attributes of the Research (500 – 600 words)
- Data Collection (800 – 900 words )
- Data Analysis (400 – 500 words)
- Ethical Consideration (100 – 200 words)
Attributes of the Research (研究の特徴)
1つ目が「Attributes of the Research (研究の特徴)」です。
ここでは、何をベースに研究を進めるのかを決めましょう。
そのベースとなる研究手法は以下の3つです。
- ベースとなる研究手法
- Research Philosophy
- Research Approach
- Research Strategy
Research Philosophy (哲学)
卒論ではどの哲学をフォローして研究するのか決めなくてはなりません。
なぜなら、どの哲学を基に卒論を進めるかによって、卒論の内容が変わるためです。
- 研究哲学例
- Ontology (存在論): “存在”の意味を説く
- Epistemology (認識論):”知識”や”認識”を説く
- Axiology (価値論): “価値”や”価値観”を説く
例えば、データ採集方法がインタビューの場合、取材協力者の「知識」や「認識」などをデータとして扱うので、Epistemologyを選ぶでしょう。
また、「なぜこの哲学にしたのか」理由を述べる必要があるため、ある程度は様々な研究哲学を理解する必要がありますよ。
以下は実例です。
私は Epistemology でした。
Research Approach (研究アプローチ)
ここでは、演繹法(deductive reasonig)か帰納法(inductive reasoning)のどちらで卒論を進めるのか記載しましょう。
- 演繹法:一般的に知られる事実を用いて結論を導くこと
- 帰納法:因果関係や共通点を探求し結論を導くこと
参考URL:
帰納法、演繹法【今更聞けない問題解決のための推論】
こちらもResearch Philosophyと同様、どれで研究するかによって内容が変わるため、選定理由を交えながら説明します。
- Research Approachの構成
- 演繹法と帰納法の説明
- どっちのアプローチで研究するか
- 選んだアプローチの選定理由
実例は以下をご参考ください。
Research Strategy (研究戦略)
ここでは、質的調査(Qualitative Research)と量的調査(Quantitative Research)のどちらで卒論を書き進めるのか書きます。
- 質的調査:「意見」や「経験」など数字では表せないデータを収集して分析すること
- 量的調査:数値化できるデータを収集して分析すること
こちらも、どちらを選ぶかで卒論の内容が変わるため、選定理由を含めながら説明しましょう。
例えば、インタビューでデータを採集するなら質的調査、アンケートなら量的調査になりますよ。
私はインタビューなので、質的調査を選んでます。
Data Collection (データ採集)
2つ目が「Data Collection (データ採集)」です。
ここでは、Research Questions (問題定義)の解答を得るために必要なデータをどうやって集めるのかを書きましょう。
私の卒論のデータ採集方法は「インタビュー」なので以下の構成ですが、アンケートなど他の採集方法でも似た構成になると思います。
- Date Collection (インタビューの場合)の構成
- Method of Data Collection
- Interview Schedule
- Interview Participants
- Pilot Study
- Interview Process
Method of Data Collection (データ採集方法)
ここでは、タイトル通り「どうやってデータを集めるのか」を書けば問題ありません。
インタビューの場合は以下の内容が含まれていればOKです。
- Method of Data Collection
- 何人とインタビューするのか
- 実際に会ってインタビューするのか
- インタビュー手法はどれか
③について、インタビュー手法は以下の3つがあるので選定理由を交えながら説明しましょう。
- インタビュー手法
- Structured Interview:
- 事前に決めておいた質問を決まった順番・内容でするインタビュー
- Semi-Structured Interview:
- 質問は事前に決めておくが状況に合わせて質問変えたり、新しく別な質問を尋ねたりする柔軟なインタビュー
- Unstructured Interview:
- 質問は事前に一切決めないで会話をするようにするインタビュー
- Structured Interview:
経験ある研究者は Unstructured Interview でもうまく対応できますが、質的調査が初心者である学生は、Structured Interview かSemi-Structured Interview が良いですね。
大概のインタビューは計画通り進まないので、Semi-structured Interview が1番おすすめ
Method of Data Collectionの例は以下の通りです。
また、インタビューでデータを集める場合、インタビュー協力者に専門用語の説明やインタビューの目的などを記した用紙を事前に渡しましょう。
- 理由
- インタビューをより効果的に進め質のいい情報を採集するため
- 取材協力者に事前に予備知識を付けてもらうため
- インタビューに対する責任感を持たせるため
- などなど
以下は全体の一部ですが、こんな用紙を渡しますよ。
Interview Schedule (インタビュースケジュール)
Interview Scheduleとは、日程調整の意味ではなく「インタビュー中に何の質問をするのか」の意味です。
(Unstructured interview だと質問は事前に考えません)
ここでは、どんな種類の質問だとどんな回答が得られそうか、理由も合わせて書きましょう。
- 質問の種類
- Open question は、Yes か No で回答できない質問(例えば、why?とかhow?などの質問)
- Closed question は、Yes か Noでしか回答できない質問 (例えば、Do you ~?みたいな質問)
Interview Scheduleの例は以下の通りです。
また、実際に聞く質問の内容はAppendixで見れることを言及してくださいね。
Interview Participants (インタビュー協力者)
ここでは、インタビュー協力者の属性を書きます。
- Interview Participantsの内容
- 取材協力者の人数
- 性別
- 年齢
- etc.
私の卒論の場合だと、上記に加え「勤続年数」や「業界」を加えていますよ。
Pilot Study (インタビュー予行演習)
インタビューはぶっつけ本番でやりません。
なぜなら、練習無しでインタビューしてしまうと効果的にデータを採集できない可能性があるためです。
そのため、一度誰かとリハーサルをし改善が必要な部分を見つけていきます。
リハーサルをする人は誰でもいいですが、本インタビュー協力者と似たような属性の人がベストですね。
私は、働いてる友人に頼んでやってもらいました。
Pilot Studyをしてみると意外と気づけなかった部分が出てくるので大事ですよ。
Pilot Study内容の例は以下の通りです。
Interview Process (インタビューの流れ)
ここでは、以下の内容が含まれていればOKです。
- Interview Process内容
- インタビューに向けてすべきこと
- インタビューの時間配分
- インタビューの流れ
- etc.
①に関しては、私の大学院ではインタビューをする前に、危機管理シートや倫理フォームを提出する必要があったのでその旨などを書きました。
詳細は以下の例をご参考ください。
インタビューの最初の10分間は緊張をほぐすために雑談しますよ〜とか書かれてますね!
Data Analysis (データ分析)
3つ目は「Data Analysis (データ分析)」です。
ここでは、インタビューなどで集めたデータをどうやって分析するのかを書きます。
様々な分析手法があるので、選定理由も含めながら以下の内容を記載しましょう。
- Data Analysisの内容
- 何の分析方法を使うのかとその理由
- その分析方法のプロセス
- 実際にどう分析したか
インタビューの場合、Thematic Analysisが定番だと思います。
以下はData Analysisの例の一部です。
Ethical Consideration (倫理)
4つ目は「Ethical Consideration (倫理)」です。
ここでは、実際にデータ採集などの研究をする上で倫理的に気をつけるべきことを書きます。
例えば「インタビューで得た個人情報や機密情報は論文に入れない」とかですね。
書く量も2段落くらいで充分ですよ。
最後に
最後までご覧いただきありがとうございました。
Chapter 3 Methodology (方法論)の書き方を解説しました。以下は要約です。
- Chapter 3: Methodology (方法)
- 3.1: Attributes of the Research (研究の特徴)
- 3.1.1: Research Philosophy (哲学)
- 3.1.2: Research Approach (研究アプローチ)
- 3.1.3: Research Strategy (研究戦略)
- 3.2: Data Collection (データ採集)
- 3.2.1.: Method of Data Collection (データ採集方法)
- 3.2.1: Interview Schedule (インタビュースケジュール)
- 3.2.3: Interview Participants (インタビュー協力者)
- 3.2.4: Pilot Study (インタビュー予行演習)
- 3.2.5: Interview Process (インタビューの流れ)
- 3.3: Data Analysis (データ分析)
- 3.4: Ethical Consideration (倫理)
- 3.1: Attributes of the Research (研究の特徴)
次回はChapter 4: Results ~ Chapter 6: Conclusion までの解説に加え、参考文献であるReferences や巻末につける付録Appendicesも一緒に解説しますね。
以下の記事が続きです。
英語論文書く際に意識したいポイントは以下に。
それでは!